昨年、ある外資系会社の購買部署にて短期派遣で勤務した。
海外(本国と中国)で生産する製品を販売する日本法人
であったが、その製品を在庫し、出荷する物流倉庫での
仕事で、工場への購買業務チームでの仕事に携わった。
業務に使用する社内システムは、日本を含む世界各国の
現地法人と工場とがつながっていて、製品の品番管理や
工場からの情報受信、そして発注業務にも使われていた
会社の中心的なシステムであったが、何よりも驚いたのは、
それがかなり古いものであったことだ。
システムに使用されているすべての英数字・日本語の文字が
1㎜角という大きさでひじょうに見にくく、なおかつ操作が
難しいため初心者には使いづらいものであった。
マニュアルがほとんど整備されていないため、
社員の方に聞きながら使いこなさなければならなかった。
文字を大きく出来ないかをリクエストしたが、不可能と
いうことであった。
そのうえ操作の手順も細かく煩雑・面倒で、ミスを誘うような
システムであることに、しばらく悩まされた。
システムを使っての業務をこなすためには、かなりの時間と
労力も費やした。
現在は、購買・出荷業務に使われるシステムには「SAP」
と呼ばれるシステムが主流だと思われるが、この会社では
導入に失敗したため、このような古いシステムを使わざるを
得ないということで、20世紀からずっと使われてきたという
ことであった。
さらに驚いたことには、このシステムでは発注後の状況がよく
分からないため、納期確認を(海外の)工場側とメールで
いちいち確認する作業を行っていて、社員の方はこのやりとりに
一日の大半の時間を費やしていたのである。
PCが普及する前、私が新入社員の頃は社内・社外にかかわらず
FAXを使ってやり取りしていたものであるが、FAXがメールに
置き換わっただけで、実に旧態依然とした会社であった。
このような、業務上で生産性を落としているものが、他にも
あるのではないだろうか。
・稟議書の申請や物品を購入する際の細かい手続き
・(派遣)社員を能力ではなく、見た目や年齢で採用する上司
・精神論や力わざで業務を進めようとする会社の方針…など
私の契約期間終了後は、初老の女性に引きぐことになった。
引継ぎ中に、社員の方から「(この女性の)業務処理能力は
どうか?」と聞かれたので「能力というよりも、文字が
読みづらいようなので、私よりも見えにくいかも・・」と
伝えたところ、この社員は「それは致命的だ」と即座に
口走っていた。
業務能力より視力が大事なのかと驚愕した。
私には、システムの文字が小さすぎる、旧態依然のシステムを
今も使い続けることが致命的ではないかと思ったのだが。