した。その後、私は別部署へ異動することになったのであるが、
異動直前に、上司の間違った判断に対して「しっぺ返し」をする
チャンスが、思いがけず巡って来た。
当時の部署は新規顧客を探していた。その一つにA社がターゲット
となった。見込需要額が大きいものであったからだ。
この会社とは直接コンタクトがなかったため、A社との取引がある
B商社の担当者を私が訪問することになった。ありがたいことに
B商社から情報をもらえたのだが、新規参入するには、品質・価格等の
課題が大きく、すんなりビジネスができる状況ではなかった。
ただ、その後も、B商社から情報をもらえるよう、良い関係が
続けられるよう誠心誠意努め、後任の担当へ引き継ぐことにした。
ところが、当時のマネージャーは、B商社との関係だけではビジネスに
至らないと判断したのか、(B商社を差し置き)A社へ訪問し直接取引
できるよう交渉すると言い放った。
私はB商社に断わりもなく、いきなり進めるのは良くないと反対したが、
マネージャーは「フンッ、フンッ、フンッ!」と3度も鼻を切らし、
馬鹿にしたような態度を私に見せつけ、後任の担当にA社にアポを取る
よう指示した。
その場に居合わせた課長は何も発言せず、ただの言いなりであった。
まもなくB商社の担当者から「色々情報提供してあげたのに、いきなり
直接訪問するとは何事か」とのクレーム電話が私にかかってきた。
私はB商社の担当者に謝り「すみません、弊社のマネージャーがわかって
くれないんです。A社との関係を強化しておいた方がいいですよ」と
頼んだところ、びっくりした様子で了解してくれた。
その後、当のマネージャーは、課長と後任担当を引き連れA社を
訪問しに行った。遠方だったので交通費もかかったはず。
わざわざ訪問したにもかかわらず、A社担当者からは、
「B商社から購入していますので、B商社へ話してください」と
一蹴されてしまったのであった。
マネージャーとしてA社とは何も交渉することなく、3人は
すごすごと帰ってきたと後で聞いた。
そして何も得られないばかりか、B商社の信用も失ってしまったのだ。
当時のマネージャーの年棒は、1500万円程度だったかと思う。
中小外資系企業では、実績や実力がなくとも英語が堪能であれば
マネージャーになれるのだが、マネジメントのレベルがどうしようも
なく低いのであった。