今回は苫米地英人氏の著書の紹介です。
苫米地氏は、尖鋭的過ぎるコメントが批判されたり、難解な言葉や
表現があるなど、入りにくい印象があるが、当著書は苫米地氏の
思想を理解するのに適当な入門書と感じた。
著者の良く言う「ストコーマ(盲点)」というキーワードがあるが、
その例が分かりやすく説明してあり、今回その意味が初めて分かった
ような気がする。
この著書で主張するところは、ビジネスマンとして成功したかったら、
「付加価値(ゲシュタルト)」を付けられる仕事をしていくべきであり
そのためには大学院で学んだ方が良いとのアドバイスをしている。
(世の中はビジネスマンだけではないので、このアドバイスが全ての人
にはあてはまらないが)
この著書の中にも「現在の日本にある企業の求人は、ほとんどが奴隷の
募集」「成功したいなら働いている場合ではない」「日本経済危機論は
ウソであり、むしろ日本が世界一有利」といった過激なコメントが出て
くるが、大切なことは、彼の表現が正しいかどうかよりも、多様な視点
を知ることの重要性だ。
会社や上司の言うことをそのまま鵜呑みにして指示通りに動くことは、
何も考えなくても済むので楽ではあるが、一流の仕事人にはなれない。
会社や上司の論理、世間の常識が本当に正しいのか吟味したり、仕事の
指示に対して、自分だったらこうする・こう変えるといったアイデアを
実行していくことが大切であり、些細な向上心が自分の「付加価値」を
上げていくのだろうと想像する。
なお、著者の会社が危機に陥った時の対応のエピソードも書かれており、
彼のお金に対する考え方や仕事の哲学、不安に陥った時の対処法なども
記載されていて、非常に興味のある内容にもなっている。
苫米地氏のコメントは、政府、左翼系メディア、金融などの産業界が
嫌がること・都合の悪いことをズケズケ言ってしまうことから、
日本の主要メディアには出られないのだろうと思われる。
数年前から、企業による隠ぺい問題が噴出している。
食品偽装、マンションの杭打ち材の性能偽装・免振材品質虚偽、
自動車の燃費偽装・ディーゼルエンジン排気ガス基準逃れ、
品質検査の改ざんのほか、違法長時間労働やパワハラ問題なども
噴出してきた。
企業には、大なり小なり隠ぺいしていることがある。
私はいくつかの会社で営業として働いたが「絶対に客先に
言ってはいけない不都合なこと」が必ずあった。
私が最後に勤務した外資系企業では、技術試験結果を客先に
正直に出してしまったため、ビジネスを失ったとして、社長命で
当時の試験(日本人)担当者が「始末書」を書く破目になった。
これはお客さんにとっては、正確な結果を報告してもらったわけで、
とてもありがたいのだが、製品・サービスが売れなくなり
業績を落としてしまうため、自社にとっては「不都合」に
なってしまうわけである。
また、私も自信を持って客先へ出していた試験結果が、
本国親会社の試験担当者が試験をまともにせず、適当に数値を
記載していたことをあとになって知り、唖然としたこともある。
偽りの対応をして、客先との間で真っ先に板挟みになるのは即
営業担当である。現場の営業担当者は客先から苦情を受け、
会社との間で板挟みになり相当苦しい立場に追いやられている
ことだろう。営業担当には罪はないのに、本当に気の毒である。
当事者はたいへんな状況であろうが、会社内で、こうした改ざん
・偽装にかかわってしまい良心に駆られていた人がいるはずであり、
そうした方が精神的に解放されるいい時代になったと思う。
今回ご紹介するのは、ロバート・D・エルドリッチ著
「オキナワ論 在沖縄海兵隊元幹部の告白」
正直、在沖縄米軍は「荒くれ者」の集団と思っていたが、
海兵隊は陸・海・空軍とは異なる組織であり、このような
インテリの方がいたとは知らなかった。
著者は、元々日本の大学の研究者で、日本と沖縄の歴史研究が
左翼系研究一色に染まっていたため、「事実」を突き止めようと
歴史研究を続けてこられた博士である。
日本政府に対しても米政府(米軍)に対しても、政策提言をしてきた
方で、日米同盟を真摯に考え、日本と米国の人的交流を促進し、
東日本大震災では在米軍による「トモダチ作戦」の影の功労者でも
ある。
海兵隊を去り、第三者の立場からの意見・提言をしているので
一方的に米軍の立場を主張したりしていないのだが、沖縄地元
メディアの意図的な反米軍・反政府報道や、事実と異なる歪曲報道
に苦言を呈している。著者が具体的な数値や事実をもとに反論して
いるのにも好感が持てる。
日本のマスコミに対しても意見を述べているので、抜粋してみる。
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日本新聞協会が制定した「新聞倫理綱領」(2000年)は、『報道は
正確かつ公正でなければならず、記者個人の立場や信条に左右されては
ならない』と謳っています。しかし、実際にはどうでしょうか。日本の
多くのメディアがとりわけ沖縄関係の報道になると、その規定を逸脱
して平気な顔をしています。
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著者によると、在米軍の事件は大騒ぎするけれども、海岸道路から
自転車で転落した老人を米軍人が救出したことなどは無視したり、
在日本海兵隊が行っている、地域交流をはかるイベントや英語プログラム
などは一切報道されないなど、マスメディアの偏向報道は多くあるという。
その一方で、沖縄のマスコミが中心となって反政府・反基地で感情論を
振りかざし、日米政府間の約束を反故にするような活動は、政府間同志の
約束を反故にする韓国と同類に見える。
過去には「成田空港」を巡る反政府闘争があったが、それもなくなり
沖縄を、左翼団体やメディアが自分たちの活動の「最後の砦」にして
しまっている。
基地反対だとして強くだだをこねると、政府からの補助金、振興予算
が多くなり、得をする人もいるという。
そんな利権構造にさえなっている。
皮肉なことに米軍基地の存在が、反日・左翼団体の拠り所なのであり、
基地の存在に感謝すべきなのは、むしろ彼らの方なのである。
反政府・反基地を展開するが、中国の尖閣諸島への動きを全く批判せず
過去から親中国政策を進めるような翁長知事もそうである。
だだをこねていられるのは、民主主義国家を作った日本政府のおかげで
あることを忘れないでもらいたい。
それでも政府に反駁するのなら、基地のない島か、知事の好きな中国に
移住していただきたいものだ。
私は、最初に勤務した上場企業で法人営業として10年余り勤務
したあと退職し、海外へ出かけることにした。
当時は激務に激務を重ね、疲労困憊していて転職する気もなかった。
2年余りでの海外滞在中、語学学校、現地旅行会社へ勤務するなど
日本国内にいては経験できないことをさせてもらった。
心身の疲労も回復し、次第に日本で復活してみたいと思うようになった。
しかし帰国後、厳しい現実が待っていた。
日本国内では、私のようにキャリアにブランクがあるとマイナスに
受け取られるのである。遊んでいたわけではないのに。
応募しても不採用という繰り返しで、憂鬱な毎日を過ごしていた。
4ヵ月後、ある外資系の小さな工場に契約社員として採用が決まった。
部署が製造部なので、製造現場の研修からスタートである。
夏の期間は、外で大量に汗を流しながら肉体労働をすることも度々
であった。
実はこの期間にも「営業にもどりたい」という気持ちが強く、
転職活動を続けていた。応募しては不採用の繰り返し。
自分の人生はここで終わりなのか・・・とあきらめかけていた。
するとある日、実家から連絡があり、人材会社から採用情報の連絡が
入ったという。すかさず連絡を入れると、職種が法人営業とのことで
早速応募してもらった。
応募から採用に至るまでに数ヵ月の時間を要したが、なんとか
外資系メーカーの法人営業として採用が決まった時は、
飛び上がるほど嬉しかったことを覚えている。
今から思えば、自分の人生はもう終わりかも・・と思った時が
底を経験している時で、そのとき突然現れた女神をぐっと掴み離さず、
チャンスに乗れたと思われるのである。
苦しかった再就職から転職までのあの時が、次のステップへの期間
だったのだと思い返される。
いま現在苦しい状況が続いている方は、希望を捨てずに毎日を強く
生きてもらいたいと思う。
外資系会社での営業サラリーマン時代、おバカ上司を人事に訴え、
社長と人事と3者面談したことがあった。
社長がいるその場で、上司に「我々の仕事の目的は何でしょうか?」と
質問したところ「しっかり製品をPRして売り上げを上げること」という
答えが帰ってきた。
役割としてはそうなのだが、それは手段であって目的ではない。
この手段と目的をはっきりさせて成功させている会社の記事を拝見した。
道路に設置されている特殊ミラーの製造販売を手掛ける会社である。
スーパーの防犯ミラーや、学校での衝突防止ミラーを開発し、
長い営業活動の結果、ついに航空機へ販売を果たした社員数34名の
中小企業なのである。
この会社がミラーを販売する目的は、記事にも書かれている通り
「安心と安全を提供すること」
一方で、仕事の目的と手段を取り違えている会社が多いと思われ、
全く気が付いていない上司や経営者も相当数いると思われる。
自分の会社が気がついていなくても、担当者自身がめげることなく
自分の信念を貫いていけば、報われる日が来ると思う。
ちなみに、冒頭のつたない上司の回答に対し、私はこう答えた。
「我々の仕事の目的は、お客さんの役に立つことです」
「売上は結果として付いてきます」