過去に何回もお世話になった派遣のお仕事。
ご存知のように、派遣先の会社から支払われる額から、
派遣会社がマージンを抜き取り(俗に言うピンハネ)後の、
残りの額が派遣社員に支払われる。
同じ会社で全く同じ仕事をしているのに、派遣会社によって
時給が異なることはわかっていたが、派遣会社がどのくらい
マージンを取っているのかを知ることはできなかった。
今年お世話になった派遣の仕事のひとつに、同じ派遣社員の方の
人件費をまとめるという仕事があった。
何社かの派遣会社から来ている人の(派遣会社への)支給額を
全部見てしまうことになったわけである。
(ただし、本人への支給額はわからない)
そこでは私の契約内容についても、全貌を知ることになった。
その時の私が受け取っていた時給は、通常業務時間内で¥1630。
派遣会社は国内大手で、事務職としては、時給水準はやや高い方に
なると思う。
当時、派遣会社へ支払われていた時給額は、なんと¥2300であった。
つまり差額¥670(マージン率30%)が、派遣会社が受け取って
いた額であった。
なので、1日8時間、月20日働いたとして、
¥670×8時間×20日=¥107,200が、派遣会社に毎月自動的に
入ってくるわけである。派遣会社にとっては、ほとんど
「不労所得」に近い。
これを考えると、バカバカしくなるかもしれないが、利点もある。
直接言えない不満などを、派遣会社に言ってもらい、待遇を
改善してもらうことができる。
また、どうしても合わない仕事、派遣社員が利用されるような
過酷な職場では、すぐに仕事を変わった方が良く、実際、
即辞めてしまうことが出来る。
というのは、派遣会社との契約期間というのは、一方的な
派遣会社からの通知であって、派遣社員がサインして同意して
いるわけではないので、口約束(紳士協定)のようなものである。
もし職場環境で苦しんでいて、他の仕事を探したいのであれば、
すぐに辞めることをおススメする。理由は何とでも後付けができる。
わたしも数回経験があるが、法的に問題はないので安心して
実行してみてほしい。
私がサラリーマンをやっていた後半の数年間、ワーカホリックな
上司のもとで営業として働いたことがある。とにかく資料作りが
好きで、数字マニアックと揶揄する同僚もいた。
メールや電話を使って、部下のチェックを毎日行っていた。
資料作成はいいのだが、あまり中身のないものであった。
一度作成したら、二度と見る必要のない、使うこともない
自己満足の資料。
年棒1000万円以上のマネージャが作るほど価値はなかったと言える。
高級なスーツやシャツ・ネクタイを身にまとい、仕事になると
生き生きし、社内で長時間の仕事に励み、退社時間は連日夜10時を
回っていた。
ところが、仕事の飲み会などで、いったん仕事を離れて世間話を
すると、幼稚で薄っぺらい話しかできない。
今年、ある米企業の日本法人で短期間働いたが、同じような人がいた。
経理マネージャをしていて、仕事にはとても厳しく、少し間違えると
激しく責め立てる人であった。問題を指摘するときは、しつこく
上から目線で話してくる。
完璧主義で、仕事を完成するまで、夜中の3時にメールを送ることも
いとわない。しかし、いったん仕事を離れると、子供のように幼稚な
感じになってしまう。
特に会社のホワイトカラーの人に言えるのだが、頭が仕事の世界だけに
なると、人間としての素養・教養を得られなくなるのである。
両方に共通しているのは、外見は立派だが、人間性を醸し出すような
奥ゆかしさや魅力に欠けるところだ。当然のことながら、そのような人
には誰も寄り付かなくなる。
仕事以外でも素養を磨き、魅力的な人間を目指したいものだ。
会社で働いていると、毎日雑多な仕事が降りかかってくる。
客先に対するもの、上司から受ける仕事、様々な社内向け仕事のほか、
突然誰かに振られる仕事などもある。
今は、会議中や打ち合わせよりも、Eメールで仕事の依頼を受けることが
ほとんどであろう。依頼された仕事が、仕事の目的のために自分が関わる
必要のある、目的に沿ったものであるという「確信」があれば、気持ちを
込めて積極的に進めていける。
一方で、自分の仕事の範疇であるのは間違いないのだが、依頼を受けて
モチベーションが下がったり、心がモヤモヤしたり、反感さえ覚えたり
することもある。
最近の会社は固定費の削減が進み、必要最小限の(もしくは足らない)
人員で、多くの仕事をこなしているのが現状なので、依頼された仕事に
対して、自分なりに選別する必要が出てくる。
その指針となるのが、「誰のための仕事なのか」「何が目的なのか」
ということである。
モヤモヤしたり、反感を覚えたりする仕事の依頼は、えてして感情的に
なってしまうので、冷静に落ち着いてみていく必要がある。
「これは誰の役に立つレポートなのか」
「誰かの自己保身のために使われるものか?」
「上司が予算を取ってくれるように上司の役割を果たす、大事な資料だ」
「この仕事はどこまで役に立つのか?上層部にインパクトを与えるのか?
それとも、単に誰かの自己満足を満たすためのものか?」
「このような指示は、客先の理不尽なわがままを調整するキーになりそうか?
それとも、会社の勝手な都合を押し付けるものか?」
「チームの活動方針を変えるための絶好の機会だ」など・・・
複数の理由が絡み合っているケースもある。それは、何か問題が発生し、
絡んだ糸のような状況になっている場合があるので、そんな時は表を作成し、
全体を「俯瞰」してみることが必要になってくる。
すると、本当に必要な仕事が明確になってくる。
依頼される仕事の中には、上司や組織の「エゴ」が隠されている場合が多い
ので、細かい観察を経験していくことで、一瞬で見分けがつくようになって
くる。あとは、それを自分なりに優先順位をつけて(仕事を断って)いけば
いいのだ。
こうした仕事の選別をせずに、そのまま受け続けるとどうなるか。
最悪の場合、東芝の粉飾決算やVWの不正問題のように肥大化していく
のである。
先日、ある会社のカフェテリアで、社員の方々がVW社の不正問題
について話をしていた。
「VWには、困ったときにはズルをしても良いという考えが
あるんじゃないか。自動車メーカに限らず、ドイツの会社は同じ
考えを持っているのでは?ひょっとして、国家ぐるみなのでは・・?」
「ドイツでは、ズルしない奴はバカということでは・・」という
会話も聞こえた。
私は日本国内でドイツ企業で働いたことのあるので、なんとなく
思い当たる節がある。
ドイツ本国で新製品を開発する場合、重要な部材までも平気で
社外から購入していたことがあるからだ。更に、丸ごと外注先に
作らせ、自社のブランドで発売することもしばしば行っていた。
すると、どうなるかというと、自社内での技術力が蓄積されず、
開発力が格段に弱まってしまうのだ。自社開発製品のレベルは
高くないのに「競合よりも優れている」といったことを平気で
言うオマケまでついてきた。
一番ショックだったのは、この比較に対して文句を言うと、
ドイツ本国から「反逆者」のレッテルを貼られてしまうことだった。
実際に「この製品は良くない」と文句を言いすぎて、クビになった
同僚もいた。
しかも品質クレームが発生した時には、クレームかどうかを
判断するのは客ではなく、自社が決めるという、あきれたルールが
あったのである。
当然、こんなことを客に言えるわけがないので、ドイツ本国側が
責任をとらず、日本法人でクレーム処理費用を処理していたことも
頻繁に起こっていた。
おかしなことであっても、決して社内で反論できないのは、
VWと共通している。
新国立競技場の問題を検証していていた、第三者委員会が、検証結果の
報告書を提出したという。
NHKでも報道されていたが、第三者委員会は、組織の整備体制に
不備があり、下村文科相とJSC河野一郎理事長に責任があるという結論を
出した。
国家プロジェクトなのに、明確な責任を持ち、リーダーシップと権限を
持った組織をつくれなかったのである。
俗に言う「なあなあ」でプロジェクトを進めてしまったわけである。
JSCとは、新国立競技場のすぐそばに本部がある独立行政法人で、
新国立競技場のプロジェクトのどさくさのなかで、競技場の建設費用の
なかにJSCの新建屋の建設費用を組み込ませようと企て、すでに旧建屋は
壊されてしまっている。
河野理事長はその張本人であった。
河野理事長は、早々に今月末に任期満了で退任すると発表した。
もともと国家公務員から天下ってきた人である。理事長を退任する
けれども、辞職はしないということか・・・
下村文科相も、責任を取るとコメントしており、明日25日に発表するとの
ことである。どんな責任の取り方をするのだろうか。
更に、フォルクスヴァーゲン社が、車の排ガス規制試験の時だけクリア
できるように不正なソフトを車に搭載していたとのニュースが世界を駆け
巡った。なんと世界で1100万台。
1000万人以上の消費者を騙して売ってしまったということである。
言葉は良くないが、組織的な詐欺と言っても良いと思う。
退任を表明したヴィンターコルン会長は「一部の部署がやった」
「(自分は)不正に関与していない」と言っていたようだが、こんな大胆な
組織的な詐欺を、知らないはずがないだろう。
環境技術がなくて焦り、トヨタとの販売競争に勝ちたくてやって
しまったのか?