とにかく多くの仕事をこなしていた記憶がある。
人の仕事を背負った苦い思い出も多い。
特に地方の小さい営業所では、いくつかの仕事を兼任する必要
があり、とにかく時間に追われていた。それは、上司や同僚の
仕事を背負わされたことが一番大きい。
ある時から、同僚が手に負えなくなった別事業も担当すること
になった。当時私は20代、同僚というのは40代半ばの方。
引き継いだ仕事は、しばしば納期トラブルを抱えていた。
私が担当になってから顧客の納期に間に合わない場合、
工場まで引き取りに行き、完成するまでずっと待ち続け、
受け取ったその足で客先へ届けたこともあった。
ある時、引き合いのあった私の顧客P社へもPR営業に行く
ことになったのだが、引き継ぎしたはずのその同僚も一緒に
付いて来て、商談後「すぐに決まりそうだね!」と
言いのけた本人の気がしれなかった。
実際は、様々なプロセスを経て受注までに半年かかった。
(当然のことながら、この同僚は一緒に付いて来ただけで
何の協力も一切なし)
また別件では、上司が対応できないS社のプロジェクト仕事を
私に振って来たことがあったが、難易度が高く社内で相談を
持ちかけても対応してもらえない事態になった。
そんな時に、パートのおばちゃんに世話をしてもらったことが
あった。難易度の高い仕事を正社員は嫌がり、パートの
おばちゃんが引き受けてくれたのである!
この仕事の対応が終わりかけの頃、S社から直接連絡あり、
「翌日の早朝までに(遠方の)○○工場へ認証用に必要な
(S社に提案した)製品を持ち込むように」との突然の
リクエストがあり、夜中にドライブして届け、ようやく
この仕事にけりがついた。
それからある時、取引先のN商社マンが、あるプロジェクトが
進まず、困っているという相談を受けた。
またもや上記S社向けの仕事で、当時私の上司(40代)が
ほったらかしにしていたプロジェクトであった。
しょうがなく、プロジェクトにかかわった社内の技術担当者に
会い、前に進めてくれるようにお願いにあがり、N商社マンと
一緒に顧客へ出向き、プロジェクトが完了し受注するまで対応を
続けていった。
その後、売上が順調に上がってきたのだが、この上司がその
売上の数字を、会議時にまるで自分の実績としてチャッカリ
上げていた書類を見た時には、空いた口がふさがらなかった。
このように、自分が引き受けてしまって苦労した仕事は、
20年以上経っても記憶に生々しく残っている。
当時は苦しかったが、その時の苦労したことが転職しても
ノウハウとして生きていることが実感として残り、転職先の
仕事で活用でき、仕事の成功に結びつけることもできたわけ
である。
なお、外資系企業では上司や同僚から、突然他人の仕事を振られる
ことは絶対に起きない。ポジションの仕事と役割(報酬)が
きっちり線引きされていて、毎年書面で渡されるからである。
日本の企業で働いている人には、仕事を次々に任され、時間と
労力を使い果たしてしまう場面が多いかと思うが、本当にできそうに
ない苦しい状態になったら、人事などに相談するのが良い。
それでも、どうしても仕事を継続するのが無理な状況であれば、
辞めるのもアリと思う。
実際、私はそうした。私の場合、転勤先で1.5人分の仕事を
与えられ、毎日が14時間勤務となった。しかも給料を
下げられたため、肉体的にも精神的にも勤務意欲が全く
無くなってしまい、10年余勤務した会社におさらばした。。
20~30代の方は、いくらでも仕事はあるので、自殺するほど
悩まなくても良い(私は41歳で正社員に転職できた)。
肉体的にも精神的にも健康であるのが、最優先なのであり、
会社の知名度や体裁よりも命が大切なのだ。